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昭和の息遣い

父の詫び状 (文春文庫 む 1-1)
その少女時代から何十年も経て、
これほど鮮やかにその時代を甦らせる文章というのは
やはり名人というほかないように思います。

悲しみも喜びも驚きも孤独も叫びすぎずに
ゆるやかな言葉で表現し、ふっと染み入らせる技は
大人そのもの。

生活のうちの一つ一つを丁寧に過ごしていた向田家
その可笑しさ、愛らしさ、を心にぐっと焼き付けていた
向田邦子氏。

『兎と亀』で飛行機に触れる記述があり、
それが、沢木耕太郎氏が解説で語る何か、彼女の
エッセイ特有の運と言うか因果というものを感じてしまいました。
美しく魅惑的な女性には
どうしても付きまとってしまうものなのでしょうか。
美しく輝いたままでの死というものは。
引用元:昭和の息遣い

父の詫び状 (文春文庫 む 1-1)
テレビドラマの脚本家として活躍していた著者による、
文筆家として初めての作品でありながら、すでに最高傑作。
その文体、構成、すべてが一級品の職人芸を思わせる。
読者は笑ったり、少ししんみりしたりしながら読み進み、
節々でその職人芸に魅せられ、思わず「うまい」と、うなってしまう。
エッセイと言うよりは短編で綴った私小説とも読め、直木賞作品と
なった「思い出トランプ」は同じ延長線上にあると言っていい。
何度読み返したかわからない一冊。   ☆10個。
引用元:

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