戦争を知らない日本人への遺書
![]() | 指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく (新潮文庫) |
悲しくてやるせない話が多いが、特に辛かったのは、中津留大尉の最期である。優秀なパイロットであった大尉は本土決戦に備えて8月15日も生きていたが、敗戦の詔勅も知らされないままに15日の夕刻に宇垣纏司令官を同乗して大分基地から飛び立つ。ところが沖縄近海で米軍機や艦船に出会わないことからおかしいと気付き、司令官の米軍キャンプ突入指示に背いて近くの岩礁に飛び込み玉砕する。(城山氏はあのままキャンプに突入していたら戦後の日本は大変な事態になっていただろうと、大尉の行為を高く評価する。)また、筆者が取材の過程で出会った幻聴や幻影―中津市の料亭で荒れる特攻隊員達がつけた無数の刀疵に触れていて彼等の末期の叫びが聴こえてくる場面、沖縄の海で亡くなった特攻隊員達の真っ黒な頭が波間に浮かんでくる光景−には、胸が詰まる。
筆者あとがきに「初心に戻り、年来の課題をようやく書き終えた思い」とあるが、本書はあの狂気の時代に国家に命を捧げた若人達への、城山氏渾身の鎮魂の書である。彼らには、60数年後の、精神面文化面で劣化の道を辿っている日本は想像もつかないだろう。吉田満氏の「戦艦大和ノ最期」とともに、読後感は重く、深く考えさせられる。
引用元:戦争を知らない日本人への遺書
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ストレスが心身の健康を蝕む。そのストレスの一番は人間関係。自分が打たれ弱いから強く見える人や識者たちはどうやって乗り切っているか知りたくて読みました。そしたら城山さん自身「弱い」といっていました。嬉しくなりました。城山さんは文の中には書いてありませんが彼の知己である名だたる経済人たちや歴史上の人物の生き様を多く知ることで彼らから沢山の胆力・知力・行動力などを学び、自分の血肉としていくことで少しずつ打たれ強くなるんだと一読者として理解しました。実際の場面での城山さんは毅然として揺るがない、まさに打たれ強いイメージですが、それも長年の経験と弛まぬ努力、学び力、真摯な生き方、そして発想の転換と行動力なんですね。
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