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「アイデンティティ探し」の長い道のり

マイ・ドリーム―バラク・オバマ自伝
最近話題のアメリカの上院議員です。2008年の合衆国大統領の民主党候補の座をクリントン前大統領の夫人、ヒラリーさんと争っています この本はその著者の「自伝」とあります。

全3部で成り立ちます。1部と2部自分の父母や祖父母、そして自分の生まれ育ちを語り、3部では父親のふるさとであるアフリカのケニアに渡った時の話で成り立ちます。

500ページを超える大部ですが、その論旨は必ずしも明快というわけでもないのですよね。それでもその言わんとするところを読み取ろうと私なりに努力しました。

結局本書は著者の人生が「アイデンティティ探し」の長い道のりの途上にある、ということを言わんとしているのだろうと思います。ただし、人種の違いの問題、父母の国の貧富の格差等、「自分探し」という手垢がついたものとは違って、もっと複層的なものだろうな、とも。

彼は第三部において父の故郷、アフリカのケニアに渡ります。祖父と父の墓の前で悟るのです。他人を信じる気持ちの重要性と、それを忘れることの悲劇を。それがあればどのような差異も乗り越えられるという悟りなのです。

そして彼の政治的な立場は、人種の違いを超え、コミュニティをつくりあげていくこと、にあると言っていいと思います。

常に黒人としての自分を意識せざるをえず、といいつつも白人社会の一員という意識も持つ彼が、白人が黒人を差別することの不当性はもちろんですが、黒人達が「すべて白人が悪い」というスタンスで社会批判をすることに対しても距離を置こうとしていることも理解できます。

ただし、これはリベラリズムに対置されるコミュニタリアニズムなのかというと、本書の記述からだけでは良くわからないのですよね(要するに自由に対する一定の制限を許容するかどうか)。一応エピローグには「コミュニティと我々の自由はどうしたら調和させることができるのだろう?」と自問しているのですね。このあたりは大変に興味があります。

イリノイ州議会議員や上院議員時代の話や政治的な立脚点等については述べられていないので、その後の彼の思想的な変遷等について知りたいですね。

500ページを経てなおその論旨が明快とは言い切れないのは、彼は黒人の父親と白人の母親の血を引いているものの、やはり黒人としての自分を強く意識せざるを得ないからなのでしょう。

彼は黒人社会に根強く残る「黒人が不幸なのは白人が悪い」的なステレオタイプな社会観から距離を置こうとしており、そのためには、「自分がいかに長い道のりを経てこのような思考に至ったのか」ということを、おそらく黒人の側に示す必要があったからなのだろう、と思います。

引用元:「アイデンティティ探し」の長い道のり
マイ・ドリーム―バラク・オバマ自伝
本書は、「貧困」という最も恐ろしい問題に対する優れた分析と、発展のために何
が必要かが述べられている。

内容については他のレビューに詳しいですが、更に付け加えるならば、本書は貧困
と発展の問題の考察を通じて、人間に最も必要なこととは何か、を教えてくれるこ
とです。

実践的というよりは理論的内容になっています。なので、2006年度ノーベル平
和賞を受賞されたムハマド・ユヌス「ムハマド・ユヌス自伝」をも合わせて読まれ
ることをお勧めします。ここには、グラミン銀行を通じた、貧困撲滅のための「実
践」が述べられているので、センの言う理論の現実が見えてくると思います――両
者は必ずしも矛盾するものではありません。

もう一つ……本書はアジアにおける貧困と発展の問題を述べていますが、それは、
決してアジアに限られることではありません。ですから、本書では普遍的な価値を
有する議論がなされています。
引用元:

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