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自分にとって柳作品のベストであり、かつ今年の文芸作品のベスト

山手線内回り
 生きている。
 自殺しようとする三人の人物を主人公とした三編の連作なのだが、死の間際まで、人は濃密に人であり続けるという当たり前の事実に圧倒される。そこには体温があり、体臭があり、声なき叫びがある。
 山手線内外で採集された街頭の名もなき人々の声が作品を満たす。ジョイスが「ユリシーズ」でダブリンの一日をまるごと写し取ろうとした手法で、かつて村上龍の「ラブアンドポップ」は渋谷の一日をすくい取ろうとした。村上の描いた、匿名性の高いテレクラや援助交際の様相がどこか乾いていたのに対して、柳美里の描く、山手線の円い線路に沿って浮かんでは消えて行く泡沫のような言葉の数々は、同じようにどこの誰とも知れぬ者たちの言葉でありながら、現在の鬱屈した、救いのない東京の日常をなまなましく切り取る。
 三編ともすばらしく甲乙つけがたいが、二編目の幼稚園児の母親に、強く惹きつけられた。客観的に見れば、モンスターペアレントの馬鹿母なのだろうが、彼女の語りに身を任せるうちに、本当に狂っているのは、自分たちを正当だと思う周辺の人間たちなのだと思える。行き場をなくした彼女の行き着くところに、胸を締めつけられる。自分の日常も、彼女のそれと紙一重なのだと感じる。
 三編目の、死に行く者の心理を描写せずに、その死を描ききる凄さ、一見普通の男に潜む、凄まじい冷酷さにも背筋が冷たくなった。それは、読者である自分に向けられた刃でもある。誰でも抱えうる残酷な無関心なのだ。
 鉄道自殺者や、戦時中の細菌戦のための人体実験の犠牲者、関東大震災の際に虐殺された朝鮮人ら声なき死者に思いを馳せるモチーフもあり、柳美里の集大成だと確信する。自分にとって現段階での柳作品のベストだし、間違いなく今年の文芸作品のベストだ。
引用元:自分にとって柳作品のベストであり、かつ今年の文芸作品のベスト
山手線内回り
この楽譜が欲しかったので見つかった時は嬉しかったです。電車の発車音の楽譜は、ないですが、この本は小さくて可愛くて、こだわりがあるのだなと思いました。文字が大きいので、お子様にも見やすいと思います。
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