ゆかりの旅人の仲間たちTop > 

合目的な巧妙な社会システムを作り上げた北朝鮮という視点

情報力―情報戦を勝ち抜く“知の技法”
 コメンテーターが並ぶような報道番組はあまり見たくないので見ていないのですが、朝鮮に関して刹那的な報道に終始する日本のテレビメディアなどを見ていると、「何か違うだろう」と思うこと多々ありました。
 この対談からは地に付いた北朝鮮が合目的なそれなりに柔軟な社会システムを作り上げた国であるという視点がはっきりと理解できました。特にナチス台頭の例にとっての、126ページの佐藤氏のアドルノやホルクハイマーといったフランクフルト学派の啓蒙の弁証法から、巨人ハバーマスの「晩期資本主義における正当化の諸問題」にいたる「順応の気構え」論は北朝鮮問題論の日本における本質的な問題ではないかと膝を打つ思いでした。
 もう一点、この本は情報の収集方法についての基本も含蓄が深いのですが、くりかえし述べられているのが、正攻法であること、正確で必要な情報はシンプルに得られるという主張(安易にではない)です。
 北海道大学の山口二郎教授のサイトは要チェックですね。
 鈴木琢磨氏が推薦する北朝鮮と金正日を読み解く10冊のリストp207も読みたい本の指針を与えてくれる。まずは、「朝鮮民族を読み解く」「北朝鮮ははるかなり」「テポドンを抱いた金正日」あたりは読んでみたいですね。


引用元:合目的な巧妙な社会システムを作り上げた北朝鮮という視点
情報力―情報戦を勝ち抜く“知の技法”
戦後日本が生んだインテリジェンスの超プロ・佐藤優氏と朝鮮情報のプロの毎日新聞編集委員・鈴木氏の対談集です。

前書きで佐藤さんは本書目的の二つ目を、鈴木さんが体得したインテリジェンス手法をビジネスパーソンや学生が実用できることと述べていますが、私が(海外)ビジネスにも応用できると感じた点と私なりの解釈を以下に記します。

1.物流の流れを止めることは情報の流れも止めてしまう(鈴木氏)=生きた海外情報を得るには海外オペレーションも有効

2.脅威とは意図と能力によって構成される(佐藤氏)=戦略とリソースがあれば、競争できる

3.(外務省が)専門家をたった3年で異動させるといったお粗末なことは、諸外国のインテリジェンス機関では考えられません=特務分野での役所的異動は企業の戦力を台無しにする

4.問題は、その辺にさりげなく転がっている宝のような情報に気付くことができるか(鈴木氏)=アニュアルレポートやCSRレポート等に商機の宝が埋もれている

5.北朝鮮は彼らなりの論理・システムによって動いており、彼らの神話を理解することから始めましょう(鈴木氏)=ユーザーやビジネスパートナーの内在的論理を掴まずして、ビジネスは成功しない

その他に語学の学習方法や名刺や情報の整理等についても語られており、朝鮮という国を読み解く書物としても、朝鮮のインテリジェンスが陸軍中野学校から多くを学んでいるという指摘等、十分知的に刺激があり面白かったですが、佐藤さんの他の優れた著書と比べると☆4つが妥当だと思います。

最後に本書で私が最も気になった佐藤さんの言葉を抜粋します。

「日本が生き残る為には、西洋哲学の思想についてきちんとした情報を掴み、分析しなければならない。そうした緊張感が、戦前の出版人にも読者にも強くあった。思想書を勉強するときには、あえて戦前、戦中の版を読むようにしています。」
引用元:

関連エントリー

ゆかりの旅人の仲間たちTop > 

お気に入り

カテゴリー